朝、6時33分に新横浜を出るこだま号は、ガラガラだった。
インターネットで指定席を購入するときは、「△」(残りわずか)だった。わざわざ指定席にしたが、その車両に乗っているのは自分を含めて8人ほどであった。
こんな早い電車にしたのは訳がある。早めに山田青年と合流して、その日御呼ばれしているとある先生の山荘に急ぎたい、というのもあるが、なんせ愛知県初上陸の俺である。愛知県に、そしてかつて徳川家康が治めた三河に敬意を表するためにも、愛知県名物の「モーニング」を体験しなくてはならないのだ!!
豊橋の駅までは丁度2時間くらい。
静岡の駅ぐらいで電車も混みはじめ、席が埋まった。
豊橋につく。山田さんに電話する。
山田「そこから私鉄に乗って、国府というところまで来て」
大海「えーっと、特急が先に出て、次に急行だよ」
山田「特急ってなんて書いてる?」
大海「?」
山田「特急って止まるのと止まんないのがあるんだよね。止まんなかったら大変だからさ」
大海「なんじゃそりゃ!紛らわしいものつくるなーーーっ」
電車に乗ろうとして、ふと使い捨てカメラを買い忘れたことに気付く。
まあいいや、国府駅のキオスクで買おう。
とか何とか言いつつ、電車に乗り、国府駅につく。
初めて乗る電車は、わくわくもするが緊張もするものだ。
国府駅は、ローカルな駅だった。
簡単なホームに、階段がかかっていて2階に改札がある。改札を出て使い捨てカメラを買おうと周りを見回したが、何も店が無かった。
「都会者の奢りだな〜」
どこにでも何でもあるという常識に染まっている自分にちょっとげんなりした。
指定された階段を下りていく。
車で迎えにきてくれているはずだが…。
「やあ」と手を振った山田青年は、真っ赤なポロシャツにサングラス姿、車まで真っ赤、あろうことか社内にいたおちびちゃんまで真っ赤だった。メン・イン・ブラックではなくメン・イン・レッドである。
研修時代に寮の談話室にてスウェット姿でカップめんを食べていた面影が無いくらいに痩せていた。
山田青年ジュニアは、とても人懐こかった。
しかも、写真を撮られるのがたいそう好きで、俺がコンビニで使い捨てカメラを買ってきたときには、大喜びだった。
大海「何歳なの」
ジュニア「3しゃい」(左の写真)
大海「お兄ちゃん(自分を指差す)何歳?」
ジュニア「……」
どうやら俺が「お兄さん」なのか「おじさんなのか」葛藤していたようだ。小さいうちから社会の建前と本音に揺れ動いている。彼の出した結論は
ジュニア「3しゃーい」
うーん、世渡り上手になるかもしれない。俺はジュニアの頭をなでぐり回した。
住宅街にあるこじゃれた喫茶店に入った。
”モーニングなんて、本当に繁盛するのかな”
と思っていたが、我々が入店してしばらくすると、40ほどの客席は老若男女の家族連れで一杯になった。
やはり、モーニングは文化として定着しているのだ!
メニューを見ると、朝からコーヒーにとりどりのものがついている。おおお、コリャお得だ!
しかも、プラス100円や200円でさらにグレードアップする。俺はとりあえずはミドルクラスのものを注文した(上の写真)
ジュニアは自分の座高よりも高いミルクのグラスから、ストローでおいしそうにミルクを飲んでいた。
程なく、山田青年のご夫人が合流した。綺麗でなおかつ気さくな方である。また、一見してしっかりした人だと感じた。一年間の夫の研修生活の間、ちゃんと家を守っておられたのだろう。
そう考えると、既婚者にとって研修生活中のご夫人の貢献は大きいものだと感じた。
山田青年・ご夫人・ジュニアととても仲がよく、独身者の自分にはとてもほほえましい光景だった。
本来であれば、暴露トークよろしく、ご夫人に研修生活中の山田青年のあることないこと吹聴して困らせるのだが、このような雰囲気にその士気もすっかり衰えた。
山田青年の家に立ち寄る。
実家の工務店も敷地内にあり、なおかつご両親の家とは離れっぽくなっている。
一見して広大な敷地だと言うことが判った。
お母上が長野のほうにマラソン大会に走りに行くというので、お友達などと集まっていた。アクティブな感じがするお母上だった。
ここでおちびちゃんとご夫人とさよならをし、我々は次なる目的地、春日井へと油谷指導員を拾いに走り出すのであった。予定は高速をつかって1時間、のはずが事故と山田青年の車についている2テンポほど反応の鈍いナビ効果があって2時間かかったのだが―。
やっと渋滞から抜け出したぜ〜。東名三好で降りちゃったよ。
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