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各地の同窓会レポート

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■商業集積視察ののち真夜中の秘湯に没する男の巻
2002年4月26日
自宅から250キロ、自動車で4時間走りつづけて到着した新潟県中里村。
商業施設を視察した後、そのまま帰るのは勿体無い。
そう思った俺は、行き当たりばったりの一人旅に出ることにした。

ガードレールの無い谷沿いの道と、車がすれ違うこともできない林道を通り抜け、
いくつものつづら折を曲がり、急激な坂道に車を駈り、
そうしてたどり着いたのは、苗場山の裏側、やがて道も途絶えてしまう
長野県の秋山郷だった。
苗場スキー場のある方面とは異なり、とても地味な地である。
そう、そこはかつて平家の落ち武者が隠れ住んだという、
秘湯の地ー


山深い渓谷だぜ


いくつもある温泉地から、俺は「屋敷」という温泉地を選んだ。
なにも、かつて大洋から巨人に移籍し、いぶし銀の功労を見せた「屋敷要」選手が
好きだからではない。
値段がリーズナブルだったからだ(それでも痛い)

その集落は山道から見下ろせる川沿いに点在している。
その1件が、俺の泊まる宿だ。
宿には、今日の17時に電話を入れて、むりくり予約を取ってあった。
宿の人はそれから夕飯を作るのだからたまったものではない。フザけた客である。


この宿「秀清館」に決めたぜ

宿の目の前の道路沿いに、露天風呂がある。納得の混浴風呂だ。仕切りは無い。
よし。
…でも、仕切りが無さ過ぎる。
つまり、露天風呂は、道からも、旅館の部屋からも丸見えなのだー。
これでは露出風呂である。
限度というものをわきまえて欲しいものだ。

それにしても、混浴というのは、ここの所忘れかけているあの”トキメキ”の心をくすぐるが、
”全て解放するのはまだ怖いなー”
なんて考えて一人ほくそえんだ。

そうして、俺は誓った。
真夜中、あの混浴露出風呂に入り、俺は男になる―と。

GW突入直前の温泉宿、秘湯だけあって、静まり返っている。
客は俺以外には中年カップル(会話に耳をそばだててみたが、夫婦とはちょっと違うようだ)
だけだった。若い女性グループが平日にいるわけ無いらしい。


部屋からの眺め。右下が露天風呂。部屋から丸見え。

夕飯は、到底4月の収入2万円の男が口にして良いか迷うものであった。
山女の塩焼き、山女が1匹入ったのお吸い物、各種山菜料理、なべ、馬刺し、山の幸に彩られた味噌汁、
そして宿の主人が作ったどぶろく。
俺の腹も、脳みその満腹中枢も、そしていわずもがなの俺の舌も、アルコール燃料タンクも
全てが満たされた。

では、風呂だ。
だが、まだ”あそこにいく”には早い気がした。
なので、とりあえずは内湯に浸かることにする。
ここは湯元なので、純粋な湯が沸き出ている。確かに、このあたりの川原はスコップで掘ると
湯が沸いてくるらしい。
湯は透明だが、硫黄臭が強くねっとりしている。効能は俺も納得の胃弱が含まれていた。
だが、この湯は侮れない。刺激が強いので、心臓に疾患のある人は、入れないのだ。
心臓病、あるいはその他の重大な病気。”ノミの心臓”にも悪いのだろうか。
小心者には世知辛い世の中であるようだ。

窓の外から聞こえてくるのは、とうとうと春の雪解け水をたたえる川の流れの音、
それだけだった。
広い湯船にひとり浸かり、都会の喧騒も雑踏のどよめきも、
全てを洗い流して、俺は風呂を出た。1時間が経っていた。


ガードレールもなく、1台分の幅しかない山道を進む、わがショートワゴン(納得のmazda製)

部屋に戻る。部屋からは、川が一望できるが、もう20時を回っており、当然景色は見えない。
そこは、街灯も人家の明かりも無い、真の暗闇が広がっている。
ー人間は小さいー
俺は、そう心で感じた。

目を覚ましたのは21時過ぎだった。
早起きと、ずっと緊張していたこと、運転しつづけたことの疲れもあり、眠ってしまったらしい。
俺はむっくり起き上がると、何をするわけでもない、ただ、部屋の中で川の音を聞きちょこん、
と座っていたかったが…
実際のところは、かすかに開けた窓から入ってきた2匹のカメムシと熾烈な攻防を
繰り広げていた。
そう、俺はかつて、自分の服に飛んできたカメムシを無意識に触り、あの強烈な
”コロン”をかけられて以来、カメムシがとても苦手なのだ。天敵だといえよう。

部屋を縦横無尽にブンブン飛び回る2匹のカメムシを華麗なフットワークで俺はかわした。
それでも、今夜のやつらの連携はすばらしいものがあった。
だが、硫黄パワーを全身から取り入れ、硫黄臭プンプンの俺には叶わない。
21時42分には1匹目、同58分には2匹目が、寒い夜空に”キャッチ・アンド・リリース”
されたわけだ。俺は自然と動植物を愛している。サメは嫌いだが。

”ふう”おれは一息つく。
いよいよあの時が来たようだ。これだけの闇ならば、どんなに通りに面した露天風呂でも
入れるに違いない。
それに、人間は元来、風呂に入るときは闇の中だったのだ。

俺は、人間に戻る。きっと、深い闇夜が、人間についての深みを俺に教えるだろう。
などと、訳のわからないことを考えつつ、それでも本気でそう思うところもあり、
玄関に向かう。するとー
玄関のガラス戸の向こうに何かがいる!!
い、いのししか!?


秋山郷から40分の七つ釜。大蛇伝説が残る。

目をこすり、ジーっと見つめる。すると、ガラス越しに1メートルむこうで、
奴もこっちをジーっと見つめる。
なんだ、犬じゃんか。大して体格の良くない宿の雑種犬は、夜間放し飼いだった。
だが、これは大問題である。

俺は、幼少の頃、犬に額を食いちぎられたり、大人になっても、隣家のボクサー犬が3回も
鎖を引きちぎって俺に食いついてきたこと、どんなに「かわいい」と
みんなが撫でまわす犬にすら、俺はうなられるということ、これらの経験を通して俺の心は、
犬に対するPTSDにかかってしまった。
犬が怖い。めっぽう怖い。子犬ですらーまあ、それはないな。それにポメラニアンだけは
いつも俺の味方だ。

まあ、とにかく、俺はそれがポメラニアンと子犬以外の犬だと判ると、
あっという間にきびすを返し、部屋に戻り、テレビをつけ、
落ち着きを取り戻し、何事も無かったかのように「メディア規制法案」への批判を口にしていた。


秋山郷から1時間20分の景勝地「清津峡(きょうせんきょう)」

不思議なことがおこった。
誰かが俺に呼びかけたのだ。
「お前は、本当にそれで良いのか?ここまで来て、お前は怖気づくのか。
そうやって逃げるのか?」
「だ、だれだ、何で俺にそんなことを言うんだ」
「私はおまえ自身だ。お前は”何かを見つけたくて”ここに来たんじゃないのか?
夜空を見上げながらの地球のエネルギーに浸かることが、お前には意味が
あるんじゃなかったのか?」
俺は、何も言い返せなかった。
それは、まさしく俺自身の声だったからだ。

放り投げたタオルを手にとり、玄関に再度向かう。もう、犬には負けないぞ。
”ガラガラッ”戸を開ける。
すると、戸のすぐ脇で丸まっていた犬が顔を上げてこちらを見た。
俺は、大丈夫だぜー
”ちゃんと見張ってろよ”
俺は、そう言った。犬は、何も言わなかった。
”勝った。俺は、俺自身と、犬に勝ったのだ”
喜びは格別だった。


落石の多い山道。人生という山道も、いくつもの障害を乗り越えながら進むものだ。

しかし、街灯の無い闇夜である。
風呂の位置も良く見えない。一歩一歩踏みしめるように、どうにかこうにか、たどり着いた。
誰も、風呂には入っていない。
星空ではないが、真っ暗な闇に、向こう側の水面がかすかに揺れている。
風に揺れる木々、そして絶え間なく流れつづける大きな川の流れ。
まさしく、俺は今、自然と一つになろうとしている―

俺は、期待と”トキメキ”に心躍りながら、
浴衣を着たまま、露天風呂がおおよそあるだろう所に近寄り、温度を確かめてみることにする。
岩を登り、段差を降りてみよう―
その瞬間

”じゃっぷーんっっ!!”

自然の音とは一線を画し、大きな音が温泉宿に響き渡った。
俺が、そのとき判りえたことは、自分が今、浴衣を着たまま湯につかっていること、
恐ろしいくらい腑抜け面して辺りを見回していること、そして、
闇夜に水面が見えず、自分がもんどりうって湯の中に転落したことだったー。
かつての民放局でやっていた、「熱湯コマーシャル」なら、笑いが取れたに違いない。
でも、誰もいない。しかも、すごくダサい。
俺は、敗北感と、肌寒さと、物憂げな心情を抱え、部屋に戻ることにするー
映画のようなハードボイルドを気取った旅は、俺自身より
現実のほうがよっぽどハードだった…。



ここに落ちたんだよね。

いいんだよいいんだよ。
露天風呂からの夜空はちゃんと見たよ。浴衣を着たままね。
自然の風も、川の音も、そして地球のエネルギーも感じたよ。浴衣を着たままね。
深い闇に教えられることはあったよ。お前はドジだって。

玄関では、さっき丸まっていた犬が俺に駆け寄ってきた。
その体格の良くない雑種犬は、ちぎれんばかりにしっぽを振って、俺の顔を見上げている。
”気にすんなよ、元気出せよ”
そう言って俺の目を見上げる、その黒い無垢な瞳が、とても可愛かった。


げんきだせよ。

もう、人も自然も寝静まった真夜中だった。

俺は、玄関前にしゃがむと、近寄ってきた犬の頭を何回も何回も撫で続けたのだー。


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*旅行データ*

圏央道日の出IC−関越道塩沢石打IC 片道\5,350−
(約2時間)

中里村中心部(新潟県)
 塩沢石打ICから県道353号線に入り、約40分。

SCユーモール
 中里村中心部にある、まちづくり会社が運営するショッピングセンター。外部へのアクセスが大変な
 この地域において、活発な活動をしている

秋山郷(長野県)
 塩沢石打ICから県道353号線に入り、中里村中心部県道117号線とのT字路を津南町方面へ進み、
 県道405号線を左折、そのまま直進、約1時間30分。中津川沿いには温泉が点在し、宿や日帰り
 温泉がある。突き当たりの切明では、川原を掘ると温泉がでる。
 *道路は車の運転が慣れていない人にはきつい。夜間は転落の怖れがあるので
  運転は日中に

屋敷温泉
 中津川沿いにあり、宿は二軒。
 今回お世話になったのが「秀清館」で、価格は休前日1名\10,000〜 TEL0257-67-2169
 料理は、山女、キノコ、各種山菜、ぶたなどをふんだんに使用した家庭料理風。
 温泉は硫黄泉で、こちらは湯元になっている

中里村田代の七つ釜
 塩沢石打ICから県道353号線に入り、中里村中心部方面、途中倉俣大橋方面に左折、
 県道284号線を左折、途中T字路を釜川沿いに直進し行き止まりまで進む。約1時間。
 秋山郷からは山道経由で県道284号線経由だが、判りづらいので、カーナビ必須

中里村清津峡
 塩沢石打ICより県道353号線に入り、県道389号線を左折、案内に沿って進む。約30分。
 七つ釜へは山道経由で行けるが、落石、断崖、倒木、ガードレールなし、舗装悪、幅員狭い
 など、非常に困難。
 途中眺めは良いが、山道に慣れた人以外はお勧めしない

清津峡トンネル
 清津峡は、山道のトレッキングもできるが、手短に楽しむ時には清津峡の見所をつなぐ歩行者専用
 清津峡トンネル(\500-)がよい
妖しげなトンネルをすすめすすめ〜♪

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